大分団地新聞に連載しました

【第4回】交通事故で車が大破したら新車購入代金を賠償してもらえる?
 第4回目は、交通事故の問題に関してよくある誤解として、「相手に責任のある交通事故で車が大破したら、新車購入代金を賠償してもらえる」という考え方について取り上げます。
 相手に100%責任のある交通事故で、自分が愛用していた車が大破し、修理ができない状態となってしまった場合には、現実には車を買い替えなければ生活や通勤に支障を来すことになります。ですから、新車購入代金か、そうでなくても少なくとも同車種の中古車を新たに購入する代金ぐらい賠償してもらってもおかしくないように思われます。
 しかし、判例上確立した考え方としては、修理ができない状態となってしまった場合でも、その車の事故時の時価に買い替え諸費用を加えた額から、事故にあった車の下取り価格を引いた額が賠償額の上限とされています。
 例えば、同車種の中古車が300万円だとしても、事故にあった車と同年式で同一走行距離、同程度の使用状態の車が200万円の価値である場合、買い替え諸費用(登録費用等)が10万円とし、事故にあった車の下取り価格が50万円であるとすれば、賠償の上限は160万円となります。仮に修理代を400万円かければ元通りに戻るとしても、賠償の額は160万円が限度です。
 同車種の中古車を購入する費用も賠償されず、事故にあった車と同程度の使用状態、同価値の車の買い替え金額が賠償されるに過ぎないのです。
弁護士法人 おおいた市民総合法律事務所