河野弁護士対談
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2010年11月23日 弘至孝公証人 vs 河野聡対談
弘至孝公証人は、日田公証人役場において、2010年11月末まで10年間に亘り公証人を務めて来られました。 講演活動や相談活動などを通じて公証業務を市民に普及した功績で日本公証人連合会から表彰されるなど全国的にも有数の名物公証人でした。退官前の2010年11月23日に対談を行いました。
河野 : 河野弁護士 本日は宜しくお願いします。
私がこの日田に事務所を開いて3年半近くなりますが、その時ちょうど上の階に入っておられた弘先生にお会いできて、大変嬉しく思っております。
本日は、11月末に退官されるということで、日田で公証人をされたこの10年間を振り返っていただいて、いろいろなお話を聞かせていただきたいと思います。
弘先生は日田に赴任される前、四国の法務局を歴任され、人権問題や登記のトップもされたとお聞きしていますが、そこではどんな仕事をされていたんでしょうか。
   
弘 : 弘至孝公証人 登記業務は、法務行政の中でも7割を占めるようなメインの業務なんですが、当時、「処理が遅い」ということで、必ずしも評価されていない状態がありました。
商売をしていた私の父が、「登記が済まないと、売買においてお金が貰えない。その登記がどれだけ速いかによって死命を制せられることがある。」と言っていたことを思い出し、登記処理のスピードアップに特に力を入れました。
「正確」「わかりやすい」「親切」といった対応の姿勢も大切ですが、速い処理で顧客の需要に応えるという姿勢を職員に徹底して教えてきました。
   
河野: 公証人として日田に赴任してきて良かったと思われる点は何ですか。
   
弘 : それは様々ありますが、私は河野先生同様に人とのつながりを本当に大事にしてきました。
気取らず、ざっくばらんに、時に相手のことを思いやって怒り、そうしながらも最後は必ずフォローする。そうやってお付き合いさせていただくと、形にとらわれない人間関係を作ることができましたし、日田の方々がそれに応えてくださいました。
最初に声をかけていただいたところが、最高の土地だと思って日田にやってきましたが、本当にその通りでした。最も私に似合った所じゃなかったかなと思っています。
   
河野 : 対談風景 日田は結構、文化度が高い土地であると思いますが、閉鎖性もあると言われます。そういったことを感じられたことはありますか。
   
弘 : いや、感じませんでした。日田の人の評価で、日田の人から「閉鎖性がある地域です」と言われたこともありますが、私自身感じることは全くありませんでした。
   
河野 : こちらから壁をつくらず、先入観を持たなければそういったことは全く無いんでしょうね。
次に、公証人として日田に赴任されて、どういった方針で公務に取り組まれてきたかを教えてください。
   
弘 : 公証業務が一般の方にどれだけ認知され親しまれているか、信頼されているか。また、公証役場の敷居が高いというイメージがありましたので、その敷居を取っ払う、印象的なことを実践しようと考えました。
まず市民の方々への勉強会もひとつですし、公証はこういうものだと垣根をはらずに、「何でも良いので私の役場に来られてください。」といった姿勢何で受ける中で、その需要も増えてきました。
これは間違っていなかったと思っています。
   
河野 : 日曜無料相談をされていたのですね。
   
弘: 月に2回行っていました。継続は力なりということで、休み無くやってきました。
   
河野 : そして、勉強会も開催していたこともあり、公証の件数が増えたとのことですが、実際どれほど増えたんですか。
   
弘 : 今月は嘘のような数字が出たんですが、この1ヶ月で遺言が優に100件を超しました。
   
河野 : 100件を超えるというのは、全国的にみても相当に多いのですね。
   
弘 : 九州では1ヶ月に約30件といえば高いというイメージなんです。
日田で月に100件超えという件数を見たら皆びっくりするだろうと思います(笑)。
   
河野 : 全国的な講演活動などによる公証業務普及の功績をあげられて全国表彰を受けられたということですが、それは個人では初めてのことらしいですね。
表彰を受けたときはどういうお気持ちでしたか。
   
弘 : 私は表彰の制度があること自体知りませんでした(笑)。最初に表彰のお話を頂いたときは「お断りします。」と言いました。
しかし、理事会で決まったことですから、是非とも受けていただけませんかと言われましたので、お受けしました。
今ではそれが、信頼のバロメーターとなっていると思い、活用させていただいてます。
また、毎年の公証週間の際に啓発講座で何をしたかを日公連に報告することになっているのですが、それを淡々と行っていましたら、理事会もびっくりしたんでしょうね、「公証」という機関誌に投稿してくれと頼まれ、特別寄稿をしました。
すると、編集委員長が原稿を見て、「感激しました。ここまでやっておられる公証人がいらっしゃるんですね。」と言われました。
   
河野 : 私も弘先生とお会いして、公証人のイメージがだいぶ変わりました。
以前は、公証人というと公証役場に収まっている方が多いというイメージがありました。
勉強会にも2ヶ月に1度位参加させていただいてみて、司法書士の方や行政書士の方などが、遠くは福岡や北九州からも、たくさん来られており、本当に弘ファンが多いと感じました。
そういった姿を日田の方々が見てさらに信頼を持たれたのではないかと思います。
公証人として10年間、まだ心残りもあるかと思うのですが、まだまだ「これから」と思っていらっしゃることが本当にすごいと思っています。
郷里の高知に帰られるとのことですが、高知では、どんなことをされようとお考えですか。
   
弘 : 本当はマル秘の部分も多いんですが(笑)。社会を見てみると、少子高齢化の社会の中で、高齢化の問題・保育園の問題・待機児童の問題、その他の問題も含めて、本当に弱者的な立場にある人が、行政では救われない部分があると私は思っています。
何か私にできることはないか、教育にしてもサポートにしても、お金の面ではなくて、そういった活動を起こせればいいなと思っています。
例えば、不登校児やうつの人の支援。特に仕事上うつの人とお話をさせていただくこともあるんですが、相談の後、非常に生き生きとした顔になるんです。
「弘先生に相談してから、意欲的になりましたよ。」というお話を頂いたこともあります。
何か私の存在そのものが力づけになるのであれば、やっていきたいと思っています。
   
河野 : 人と接する際の姿勢という基本的なところが、共感を呼ぶんだろうと思うんですが、いかがですか。
   
弘 : 私は、嘘の気持ちで人に対応したことがありません。
人との対話の中ではいつも誠実にいきたいと考えています
。私は、熱意・創意・誠意を「私の3つの意」と唱えていますけど、これを人に言うかわりに、自分がやらなければならないとも思っています。
   
河野 : 私も偶然下の階に事務所を開いて、本当に良かったと思いますし、日田も大好きです。
これから市民に開かれた事務所を目指すととともに、勉強会といったことも含めて、もますます弘先生を見習っていきたいと思っていますので、今後とも永くお付き合いさせていただきたいです。
   
弘 : こちらからも本当にお願いします。
   
河野 : 懇親会の写真 本日はお忙しいところありがとうございました。
   
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弁護士法人 おおいた市民総合法律事務所